2度目のHENRO TRAIL⑥  外国人のお遍路さん

 10月30日、大日寺の通夜堂を早立ちし、松本大師堂まで歩いて遅い朝食。湯を沸かしてカップ麺をすすっていたら、一週間ほど前から顔見知りになっているオーストラリア人のベンがやってきた。

遍路に出掛けた日から連日25度を超える暑さで、Tシャツ一枚で歩いても汗だく。そんな話題になった時、ベンいわく、

 そんなに暑くは感じない。自分はオーストラリアの北寄りに住んでいて、この時期35度を超える日が続く。だが、年末年始(つまり夏)には40度を超えるから、みんな家の中でじっとしてる。

なおこの内容は、彼が日本語で話しただけ。念のため(笑)

 

ベンはもう3度目の遍路だという。次の遍路では白衣に御朱印を頂いたらどう?と言うと、

  死んだら、その白衣を着けて焼いてもらおうかな

驚いた。まさか若い外国人からこんな話を聞くことになるとは。

 

 この先遍路道はいよいよ高知平野の中へ。29番国分寺聖武天皇の勅願によって諸国に建てられた国分寺の一つ。寺の南を流れる国分川に架かる橋の名は、何と「国府橋」。

そういえば、徳島県の15番札所国分寺は八十八カ所霊場の中では珍しい曹洞宗の寺だった。

国分川に架かる国府橋。奥には長宗我部氏の居城岡豊城が見える(〇印)

 この日一気に高知市街を抜け、今夜の宿としたのは31番竹林寺の南麓にある東屋。

東屋は竹林寺トンネルの出口脇の高台にあって

 風光明媚だが水・トイレ完無!

という物件だった。交通量の割りには防音壁が効いて熟睡の一夜となった。

 朝起きてみたら、昨夜には無かったはずのテントが一張り。そのテントは確か安芸市の公園で見かけたあのテントと同じ。ひょっとしたら噂に聞いていたアメリカ人お遍路さんかも。

 

 10月31日、32番禅師峰寺に参拝したあと、浦戸湾を渡る高知県営フェリー乗り場へ。このフェリーは県道278号の一部として無料で乗れるし、何より歩かなくていい!

     

       禅師峰寺のある南国市の名物は尾長鶏らしい

 

 今夜の宿は34番札所種間寺の通夜堂。納経所で今晩泊めてほしいことを申し出ると、まず出された帳簿に住所・氏名を記入。

 案内された部屋は畳敷き。シャワーまで備えた充実の通夜堂だった。私は持参の寝袋で眠ったのだが、部屋にはきれいな布団が置いてあり、交換用のシーツまで備えてあった。

 おかげで充分休む事が出来ました。お世話になりました。

34番種間寺の手前、道沿いのお地蔵さんに赤い花が供えられていた。

(続く)