HENRO TRAILを歩いた ⑨

 7日目、松山市内の48番西林寺から53番圓明寺までの6ヵ寺に参拝し、圓明寺前の民宿へ。

 8日目、今治市菊間まで歩いて青木地蔵堂に泊まる予定を変え、市内に住む娘夫婦宅へ。

 9日目、54番延命寺から58番仙遊寺まで今治市内の5ヵ寺に参拝、仙遊寺通夜堂泊。

 

 7日目の49番札所浄土寺の本堂は寄棟造りのしっとりとした雰囲気の建物。空也上人にゆかりのある寺で、口から六体の仏像が現れている空也上人像がこの寺にあるらしい。

 この日通過する松山での一番の狙いは、道後温泉本館で浴衣・茶菓のつくリッチな入浴、それに道後温泉駅から市内電車それも出来れば坊ちゃん電車に乗ること。

 ところが道後温泉の街に入ってみると、重要文化財に指定されている道後温泉本館の建物は改修のためすっぽりとカバーがかけられていた。入浴出来るとは聞いたが休憩室のある二階の欄干から外を眺めることは出来ない。残念無念。

 あきらめて道後温泉駅から電車に乗り、上一万で乗り換えて松山城の麓を西へ。昔の風景とはかなり変わった街並みを車窓から楽しんだ(実は50年ほど前、しばらく松山に住んだことがある)。

 城北の清水町で電車を降り、一気に52番太山寺・53番圓明寺まで参拝。思ってもみなかったことだが、この日だけで松山市街を抜けることになった。

  

       

 53番圓明寺から今治市延命寺までは35kmもあるから、翌8日目はひたすら歩くだけ。下写真は松山市の北にあった北条市(合併して今は松山市)で見かけたマンホール。高校生の俳句大会「俳句甲子園」も毎年松山で開かれているそうで、さすが俳句の盛んな土地柄。

 

 

 9日目は今治市内の札所を順に参拝。57番栄福寺に向かう遍路道の脇には各所から寄せ集められたと思われる遍路の無縁墓が。この日思いの外暑く墓前で座り込んでいたら、通りがかった女性から暑いでしょうと塩飴のお接待。無縁墓もそうだが、遍路が大切にされていることを改めて感じ入った次第。

 この日最後の札所は今治市街背後の山にある58番仙遊寺。寺には宿坊の他に通夜堂もあって、私は例によって通夜堂泊。

 寺には天然温泉が湧いており、宿泊客と同様に私にも声をかけていただいた。湯はぬめりのある炭酸水素塩泉、いわゆる美肌の湯らしい。実にけっこうな湯でした。

  

  


 10日目、59番国分寺、 11日目、60番横峯寺から62番宝寿寺まで参拝。 

 59番国分寺の次は四国遍路の難所の一つ、標高745mにある横峯寺へ向かう。本来のルートは谷伝いに登っていく伊予遍路道(下図参照)なのだが、私は東麓西条市小松町のビジネス旅館小松に連泊し、宿に荷物を置いて空荷で往復するという軟弱路線を採用。お陰で足の軽いこと!

     

      

 12日目、63番吉祥寺、64番前神寺に参拝し、新居浜市関ノ戸の善根宿「巡礼さんのお宿」に宿泊。お世話になりました。

 翌13日目は四国中央市を歩き、民宿「おおなる」に素泊まり。

 この日トイレがなかなか見つからず、切羽詰まって駆け込んだところが遍路道に面した派出所。お礼を申して出掛けようとした時、若いお巡りさんからジュースのお接待。なんと有り難いこと。

  

  (続く)