竹野井館 岡山県井原市美星町黒忠 

標高370m 比髙30m 

主な遺構:土塁・堀切

アクセス

 小笹丸城麓から南へ、小川に沿った道を1kmほど南下すれば、右手の小高いところにに平等寺が見える。館跡は浅い谷を挟んでその南方丘陵上にある。東麓から丘陵上まで車道が延びている。

       

 小笹丸城から南へ約1km、城からは谷筋の向こうに見通せる場所に小笹丸城主竹野井(竹井)氏の館跡と伝える地がある。

 北向きの小高い場所に竹野井氏の館跡を示す石碑があるのだが、困ったことに見慣れた土塁と空堀に囲まれた土居屋敷らしきものが見当たらない。闇雲にその周辺を測量して作成したのが下図。

  

 確認出来たのは、石碑のある低丘陵先端部を切り離す堀切・土塁だけで、一定空間を囲む形をとらない。堀切は現状で幅5m深さ1~1.5m、側面に土塁を伴うものだ。これが二重に設けてあって、遮断された低丘陵先端部には緩斜面の自然地形が広がる。その一角に館跡を示す石碑と粉米石(結晶質石灰岩)製の五輪塔のある小平地(縄張図中のa)と2カ所の削平地、さらに厩跡・馬場跡の伝承地がある。

 ここが居館跡だとすれば、平地を見下ろす小高い場所を選んで居館を営み、背後の備えとして丘陵中に堀切を入れたものと見ることができるが、いずれにしても一般的な土豪居館とは様相を異にするものだ。一帯は宅地や畑として利用されているから、原状が大きく失われている可能性もある。

 類似の例は他にもある。当ブログ2021年6月9日の記事で取り上げた有元城跡(岡山県勝田郡奈義町)がそれで、丘陵中に長短4本の空堀・土塁が伸び、これに挟まれた小平地はあるのだが、大部分は自然地形のままだ。城の本体がどこなのか判断出来なかった。

竹野井館跡の石碑

  

 

竹野井氏高の供養塔と粉米石の五輪塔           一石五輪塔(これも粉米石)


参考文献

 webサイト「おかやま全県統合型GIS