四国遍路9日目からは、二十三番札所薬王寺から室戸岬の二十四番札所最御崎寺まで、75kmの長い道のりとなる。
9日目はJR牟岐線に沿った国道歩き。1両編成の列車がのどかに走り抜けていった。私は鉄オタでもあるし足も痛む。乗らない理由は無い。乗車した山河内~牟岐間10kmほどの区間はちょうど通学の高校生でかなりの席が埋まり、賑やかな車内となっていた。
牟岐駅からは再びつまらない国道歩き。今夜の宿は高知県境の宍喰にある弁天屋旅館。一昨日に続いて暖かいもてなしと料理に大満足。
しかしこの日30km近く歩いたのが失敗だった。足の傷みはますますひどく、近くの薬局で購入した白色ワセリンを足全体に塗り、水ぶくれにはガーゼをかぶせて手入れしたのだが、翌朝歩ける自信はなかった。
10日目、二十四番最御崎寺・二十五番津照寺に参拝し、室戸市の民宿に宿泊。
徳島県海陽町の海部駅からはJR牟岐線に代わって、安佐海岸鉄道の線路が高知県東洋町まで延びている。この線路にはDMV(Dual Mode Vehicle)、つまり線路の上では列車となるバスが走っている。
今日は出来るだけ歩かないと決め、宍喰駅からこの列車に乗車。東洋町からバスに乗り継いで室戸岬の御蔵洞前で下車。
御蔵洞みくろどは修業時代の空海が籠もったとされる洞窟で、打ち寄せる波に削られてできた海食洞のようだ。これを訪ねたのち、急崖につけられた遍路道を上って岬の最御崎寺へ。さらに西海岸に下り津照寺へ。今夜の宿は室戸市の民宿。
室戸西海岸は単調な海岸で、太平洋の荒波が打ち寄せると言いたいところだが、この日は信じられないほどに穏やか。
室戸の津呂港は、江戸時代土佐藩の家老野中兼山が開削した港だという(案内板による)。下写真のように、海への出口がわからないほど狭い水路で海に繋がっているだけだから、沖が荒れたとき船の待避港としては申し分なかったはずだ。
結局この日歩いたのは9kmほどで40kmは交通機関を利用。これで「歩き遍路」とは笑止。やはり痛みに耐えねば。
11日目、二十六番金剛頂寺に参拝し、田野町の善根宿へ。歩行距離20kmほど。
この日お世話になった善根宿ととろっとでは、出迎えてくれた宿の主人がお風呂を湧かして下さるし、夜には私の痛む足の手当までしてして下さった。本当に感謝、感謝です。